沖縄もずくとは?
沖縄もずくは、学名Cladosiphon okamuranusという褐藻の一種で、琉球列島が原産の海藻です。古くから沖縄の人々に食されてきた伝統的な食材であり、現在では養殖技術の発展により、年間約2万トンが生産されています。全国のモズク生産量の9割以上を沖縄県が占めています。
沖縄では、海藻を食する文化が根付いており、もずくもその一つとして、人々の健康に貢献してきました。他の海藻と比較して、もずくはフコイダンという成分を豊富に含んでいることが特徴です。フコイダンは、もずくのヌルヌルとした食感の源であり、様々な生理活性を有することが知られています。また、もずくは水分量が多いため、高品質なフコイダンの抽出源として注目されています。
フコイダンの研究の歴史
フコイダンは、1913年にスウェーデンの研究者によって褐藻類から発見されました。その後、1950年代以降、フコイダンの抗血液凝固作用が報告され、1960年代以降は成分や化学構造に関する研究が進みました。1970年代以降には、抗腫瘍作用が注目されるようになり、1996年には琉球大学の研究グループにより、沖縄もずくに多量のフコイダンが含まれていることが報告されました。この発見をきっかけに、沖縄もずく由来フコイダンの研究開発が加速し、1998年には金秀バイオ株式会社(本ショップが仕入れを行っています)が抽出を開始しました。
フコイダンの生理活性
これまでの研究で、フコイダンには様々な生理活性が確認されています。
- 腫瘍抑制作用: がんの発生や成長を抑制する可能性。
- がん細胞に対するアポトーシス誘導: がん細胞を自ら死滅させる働き。
- 免疫賦活作用: 免疫力を高める働き。
- 血糖降下作用: 血糖値を下げる働き。
- 血圧降下作用: 血圧を下げる働き。
- 抗炎症作用: アトピー性皮膚炎などの炎症を抑える働き。
- ウイルス抑制作用: HTLV-1、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルスなど、様々なウイルスに対して抑制効果を示す可能性。
各種海藻のフコイダン含有量
フコイダンにもいろいろ種類がありますが、どの海藻に一番多く含まれているのでしょうか?
過去の論文にてフコイダンの各海藻ごとの含有量に関する研究データがあるので下記にてご紹介します。
図の通り「沖縄もずく」の量が他の海藻と比較して含有量が多いことが一目瞭然です。モズク(いともずく)も同じ量ですが、全国で流通しているモズクの9割は、実は沖縄で栽培されている沖縄もずくです。
沖縄は"もずく"生産量が日本一
沖縄のもずく養殖は、日本のもずく養殖発祥の地であり、現在も国内最大の生産量を誇っています。特に「沖縄モズク」は、沖縄の澄んだ海で育つ太くて粘り気のあるもずくとして全国的に有名です。
もずくの養殖過程は、大きく分けて以下の4つのステップで行われます。
- 採苗: 海中にビニールシートを張り、そこにモズクの種を付着させます。まるで種をまくように、モズクを増やすための準備段階です。
- 種付け: 採苗したシートからモズクの種を網に移し替えます。この網が、モズクを育てるための最初の場所となります。
- 苗床: 種付けした網を海中の苗床と呼ばれる場所で育てます。小さなモズクが少しずつ大きくなる場所です。
- 本張り: 苗床で育ったモズクを、より広い海域に移動させます。この場所では、モズクが大きく育つために必要な栄養をたっぷり与えながら育てられます。
収穫は、冬の間に成長したモズクを春に行います。ポンプを使って海から吸い上げ、その後、選別や加工などの工程を経て、私たちの手元に届きます。
沖縄のモズク養殖は、自然の恵みを最大限に活かした、まさに「海の野菜」の生産と言えるでしょう。
沖縄乾燥モズクの効能が証明された実例
神戸女子大学との共同研究で、特別養護老人ホームに入所されている方の便秘改善に、沖縄産乾燥もずくが効果があることがわかりました。
研究内容
- 目的: 特別養護老人ホームに入所されている方の便秘を改善する方法を研究すること。
- 方法: 沖縄産乾燥もずくを毎日食べてもらい、便秘の状態がどう変化するかを調べました。
-
結果:
- もずくを食べることで、便秘薬の使用量を減らしたり、全く使わなくてもよくなった人が増えました。
- 便秘が改善されたことで、入所者の方の生活の質が向上し、「自信がついた」という声も聞かれました。
なぜ沖縄産乾燥もずくを選んだのか?
- 利便性: 調理が簡単で、衛生面でも優れている。
- 健康効果: フコイダンという成分が含まれており、健康に良い効果が期待できる。
研究結果
- 沖縄乾燥もずくは、他の食材よりも便秘改善に効果が高く、多くの高齢者が便秘薬の使用量を減らすことができました。
- 毎日もずくを食べることで、規則的な排便が習慣となり、生活の質が向上したという声が多く聞かれました。
研究のポイント
- 実用性: 特別養護老人ホームという実際の場で研究を行い、その結果を実用化できる可能性がある。
- 安全性: 沖縄産乾燥もずくは、自然食品であり、安全性が高い。
(参照)研究:「特別養護老人施設における栄養および排便障害の改善への取り組み 」
まとめ
沖縄もずくは、フコイダンという貴重な成分を豊富に含む海藻です。フコイダンは、様々な生理活性を有しており、健康維持や病気の予防に役立つ可能性が期待されています。今後も、沖縄もずくやフコイダンに関する研究が進み、新たな発見が期待されます。
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